ナツキ・スバル
いっよっしゃー。クリアー。
ベアトリス
スバル、お疲れ様だったかしら。
ナツキ・スバル
助かる。
ナツキ・スバル
ちょっと冷やしてあって。生き返るわ。
ベアトリス
礼ならペトラに直接言ってやるといいのよ。きっとあの娘は飛んで喜ぶかしら。
ナツキ・スバル
俺とベア子の契約からもう1年か。
ナツキ・スバル
時間過ぎるの早いし、俺のベア子が今日も可愛くて感慨深いぜ。
ベアトリス
ベティが可愛いのは当然のことなのよ。
ナツキ・スバル
俺もこの1年ですっかりたくましくなったしな。
ベアトリス
ぷーぷーかしら。やられたのよ。
ベアトリス
今の冗談は面白かったかしら。
ナツキ・スバル
いや、冗談のつもりなかったんだけどな。
ナツキ・スバル
見ろよ、この秘密の訓練所。
ナツキ・スバル
大人でも余裕で音を上げる鬼畜仕様のアトラクションを、
ナツキ・スバル
俺、パーフェクトにクリアできるようになったんだぜ。
ベアトリス
大げさすぎるのよ。
ベアトリス
だいたい、秘密の訓練所なんて言ってるのはスバルとカーフィールの2人だけかしら。
ナツキ・スバル
おお、いってくれたなー。
ベアトリス
虐待かしら、スバルは極悪非道の契約者なのよ。
ペトラ
ナツキ・スバル
予定にない来客。俺を呼ぶ可愛いエミリアたん。
ナツキ・スバル
事件の予感がしないか。
ベアトリス
面倒が舞子のパターンに違いないかしら。
ミミ
おー、お兄さんだ。元気してた
ナツキ・スバル
ミミひさしぶりじゃねえか。元気してたか
ベアトリス
ミミちょう元気。あと背伸びた。もはや大人の女で
ナツキ・スバル
であい頭に。人の頭に飛びついてくるやつのどこが大人の女。
ナツキ・スバル
けどま、遠いところよく来てくれたな。
ナツキ・スバル
んところでミミがいるってことじは。、
ミミ
兄さん。心配せんでもよろしい。今日はユリウス一緒じゃないから。
ラム
やっと来たのね、バルス。随分と遅かったじゃない。
ラム
いやらしい。
ナツキ・スバル
お前の方がいやらしいよ。ほのぼしい光景以外の何物でもねえだろ。
ラム
そうやって何でも自分の主観で物事を判断する癖をやめなさい。
ラム
覚えておくといいわ。バルス。
ラム
ラムの評価はラムの主観が全てよ。今で
ナツキ・スバル
今、前半と後半で主張が矛盾してなかったか
ガーフィール・ティンゼル
あ。おせえじゃねえかよ。大将。、
ガーフィール・ティンゼル
早く入ってくれや。
ガーフィール・ティンゼル
オットー兄ーとエミリア様の歓迎じゃ、かき合い漫才にしかなってねえ。
ナツキ・スバル
それはそれで。しばらく見守っていた演目。
ラム
馬鹿なこと言ってないでさっさと入りなさい。
ヨシュア・ユークリウス
こちらの方が。
エミリア
ええ、そうよ。お待たせしてごめんなさい。
エミリア
私の騎士様、ナツキスバルです。
ナツキ・スバル
私の騎士さま。
ヨシュア・ユークリウス
どうかなさいました。
ナツキ・スバル
ちょっとうっかりトリップしちゃった。
ナツキ・スバル
大変失礼しました。
ナツキ・スバル
ご紹介に預かりました、エミリア様の騎士、ナツキ・スバルです。
ヨシュア・ユークリウス
ご丁寧にありがとうございます。
ヨシュア・ユークリウス
ぼ、自分はアラスタシアホウシ様の使者として参りました、 ヨシュア・ユークリウスと申します。
ナツキ・スバル
ユークリウス?
エミリア
スバルも驚いたみたいね。そうなの。ヨシュアってユリウスの弟さんなんですって。
ヨシュア・ユークリウス
ナツキ殿ですよね。兄から聞いています。
ヨシュア・ユークリウス
その数々の噂もかねがね。
ナツキ・スバル
なるほど、ユリウスの弟か。言われてみれば嫌味じゃなく、鋭い目つきとか
ナツキ・スバル
皮肉。うんじなく。優雅な口元とか、悪魔。麗しい髪の色とか同じだよ。
オットー・スーウェン
ちょくちょく無理が見えるんで、余計な口は閉じてくれませんかね。
ナツキ・スバル
さて、それじゃあ待たせて悪かったなってことで、話の続きを。
ヨシュア・ユークリウス
ちょっと待ってください。その女の子は
ベアトリス
べてぃがどうかしたかしら。
ミミ
あれはベア子、お兄さんとお姉さんの子供。
ナツキ・スバル
そうそう、これは俺とエミリアたんのかわいいベイビーベアトリス。
エミリア
違うでしょ。
エミリア
ヨシアが驚いてるじゃない。私、スバルとチューはしたけど、チューじゃ赤ちゃんはできないんでしょ。
エミリア
勉強したんだからあ。
ナツキ・スバル
ごめんエミリアたん、なんかものすごい赤裸々な勢いで暴露されそうで恥ずかしいからやめて。
ナツキ・スバル
俺が悪かった。
ヨシュア・ユークリウス
それで、実際のところ、こちらのベアトリス嬢の立場は。
ナツキ・スバル
ベアトリスは俺と契約した可愛い大精霊。
ヨシュア・ユークリウス
大精霊
ガーフィール・ティンゼル
よ。お客人。
ガーフィール・ティンゼル
うちの大将が精霊連れてっと。なんか問題あんのか、よぉ。
ヨシュア・ユークリウス
いえ、噂は耳にしていましたが、ナツキ殿が本当に精霊騎士であるとは。
ヨシュア・ユークリウス
ご存知かと思いますが、兄も精霊騎士。
ヨシュア・ユークリウス
この国随一の精霊士ですので。
ナツキ・スバル
あ、もちろん知ってる。あいつには世話に世話にな
ナツキ・スバル
世話になったから、
オットー・スーウェン
そんななに助けられたの。認めたくないんですかね。
ベアトリス
ベティとスバル以外にも精霊使いの騎士がいるのは知っているのよ。
ベアトリス
なかなか見所のあるやつと聞いていたかしら。
ヨシュア・ユークリウス
無論です。兄様はすごい方ですから。若干22歳にして王国騎士団の花形。近衛騎士団で実質的な2番手。
ヨシュア・ユークリウス
今はお役目を離れていますが、アナスタシア様が即位された暁には団長の座は確実です。
ヨシュア・ユークリウス
今代の剣聖であるラインハルト様でも、兄様の騎士としてのあり方にはかなわない。まさしく兄様は真の騎士。
ベアトリス
ドン引きなのよ。
エミリア
ヨシュアって。ほんとにすごくお兄さんのユリウスが好きなのね。
ヨシュア・ユークリウス
申し訳ありません。家族のこととなると自制が利かなくて。
ガーフィール・ティンゼル
いいから、とっとと本題に入れよ。
ガーフィール・ティンゼル
バームベームは寝かせるほどうまいってのも限度があらぁ。
ミミ
バーむベーム!みみも大好き。美味しい。一緒に食う。
ガーフィール・ティンゼル
あ、ああ。
ミミ
じゃあ約束。
ヨシュア・ユークリウス
う、うん、失礼いたしました。それでは我が主であるアナスタシアホーシ様からのお言葉をエミリア様にお伝えします。
ヨシュア・ユークリウス
アナスタシア様はエミリア様を水門都市プリステラへご招待したいとお考えです。
エミリア
水門都市プリステラ。
オットー・スーウェン
いったいどのようなご用件なんでしょう。
ヨシュア・ユークリウス
パーティーのお誘いだそうです。アナスタシア様のご好意でエミリア様の探し物を見つけたとのことですよ。
エミリア
私の探しもの。
ヨシュア・ユークリウス
はい。プリステラの商人がエミリア様ご所望の魔性石を所有しているそうです。
ナツキ・スバル
魔晶石。
ヨシュア・ユークリウス
はい。大精霊様を呼び戻す触媒を探しておられるのですよね。
ミミ
じゃあね、ガーフ、プリプリ待ってるから、絶対来ること。
オットー・スーウェン
ガーフィール。すっかり気に入られたみたいですね。
ガーフィール・ティンゼル
別に嬉しかねえよ。
オットー・スーウェン
案外まんざらでもないんじゃないですか。
ガーフィール・ティンゼル
え。そんなことあるわけねえだろ。
オットー・スーウェン
素直じゃないですね、
ガーフィール・ティンゼル
これが素直な気持ちだ。
ナツキ・スバル
ぶっちゃけ、スタシアさんに借りを作るのは怖いんだけど。プリステラってどんな街なんだ。有名なところなの。
エミリア
プリステラはルグニカの5大都市の1つで、カララギ都市国家との国境沿いにある町なの。
エミリア
都市中に水路が流れてて、 すごく綺麗な街なんだって。
ナツキ・スバル
えー、水上都市ってやつか。俺の知識だとベネチアとかに近いのかな。
エミリア
ベネチアは知らないけど、プリステラは水上都市じゃなくて水門都市。
ナツキ・スバル
水門都市。
エミリア
そう、湖の中にある町で、雨が降ると街中水浸しになっちゃうの。だから町の周りを高い塀で覆って 水の量を調整する水門をいくつも置いてるんだって。
ナツキ・スバル
いきなりイメージが水の都から水の監獄に変わっちゃうな。そんな町に呼び出すあっちの狙いはなんだろう。
エミリア
ただよくしてくれただけかもって信じちゃうのはダメ。
ナツキ・スバル
残念だけど、王戦候補者はどいつもこいつも癖があるからね。
エミリア
でもパックとは話したいことも聞きたいこともいっぱいあるの。だから、
ナツキ・スバル
とっとと戻れよな猫精霊。俺もお前に恨み事が山ほどあんだからさ。
エミリア
ごめんなさい。こんな大事な時に屋敷にいられなくて。
ロズワール
いえいえ、私としてはエミリア様の意思を尊重させていただきますよ。
ロズワール
たとえ西方貴族を集めた会合で大変忙しい時期だとしてもね。
フレデリカ
全く、旦那様は本当に反省の色が伺えない方ですわね。
ロズワール
おや、手厳しいねフレデリカ。
フレデリカ
当然ですわ。
ロズワール
正直、エミリア様とスバルくんだけを行かせるなら不安だけど、ガーフィールとオットーくんが一緒なら大丈夫でしょ。
ロズワール
オットーくんなら交渉で下手なドジ踏む心配もないし、最悪ガーフィールが何もかもぶち壊して逃げてこられる。
エミリア
それはそれですごく問題になりそうだから、私も一生懸命頑張るわね。
ナツキ・スバル
心配ご無用だよ、エミリアタン。相手がアナスタシアさんだろうとユリウスだろうと、話し合いをケムに任せれば俺は一級品だ。
エミリア
もうそれって自慢することじゃないと思うの。
ロズワール
となると、屋敷に残るのはラムということで構わないかな。
ラム
ええ、ロズワール様のお心のままに。
ロズワール
話はまとまったようだ。それじゃあ、4人のモリはベアトリス君に任せたよ。
ベアトリス
いや、お前に言われるまでもないかしら。
オットー・スーウェン
僕はね、これでもちゃんと皆さんのことを考えてるつもりなんですよ。
ナツキ・スバル
なんかいよいよお前も完全に内政官だな。
オットー・スーウェン
なんですかその憐れむような目つき。
ガーフィール・ティンゼル
落ち着けって、オットー兄。
ガーフィール・ティンゼル
大将もあんましからかいすぎるもんじゃねえよ。前に1日10オットーまだって決めだったろうが
オットー・スーウェン
1日10オットーって、それ何の単位なんですかね。
ナツキ・スバル
おじゃまします。
ナツキ・スバル
レム。どうやらしばらく会えなくなりそうだけど、 今日は話すことがいっぱいあるぞ。なんせ、招かれざる客がとんでもない問題を持ち込んでくれたからな。
オットー・スーウェン
アナスタシア様に会う前に、まず現在の王戦の状況についてお話ししておきますね。
オットー・スーウェン
当初、王戦はクルシュカルステン侯爵とアナスタシアホーシンが本命と対抗に見られていました。
オットー・スーウェン
エミリア様も含めたほかの3人は、言葉を選ばずに言えば数合わせのような認識ですね。
エミリア
それは否定できないと思う。
オットー・スーウェン
ですが、少なくともこの1年で姿勢の認識が変わりつつあるのは事実です。
オットー・スーウェン
エミリア様は有力だった二陣営とともには、芸と滞在主教を討伐したという功績が大きい。
オットー・スーウェン
エミリア様以外の数合わせ組も、特にプリシラ陣営の躍進は目覚ましいものがあります。
オットー・スーウェン
亡くなった旦那さんの所領を受け継いだ後、情勢の不安に揺れる周辺の有力者を一気に味方につけました。
オットー・スーウェン
乗せれば乗せるだけ踊る当人の気質と美貌もあって、太陽姫と慕われ、日に日に勢いを増しています。
オットー・スーウェン
フェルト陣営も 当初の強みは騎士である剣聖ラインハルトヴァンアストレアのみでしたが、フェルト様が目をつけたのは能力はあっても性格に難があったり、常に傷のある者たちでした。
オットー・スーウェン
彼らを積極的に取り込み、柔軟な発想と視点で領地の大改革を始めたんです。
オットー・スーウェン
なのでこの1年、盤上から転がり落ちた候補者はいません。
オットー・スーウェン
ただ魔女教との戦いで記憶をなくされたクルシュカルステン侯爵だけは芳しくありませんね。
オットー・スーウェン
そんな中、 アナスタシア陣営だけは王戦が始まる前も始まってからも1度の失速もなく、安定した支持を持ってるんです。
エミリア
アナスタシアさんのところはホーシン商会っておっきなお店が力になってるのよね。
オットー・スーウェン
はい。
オットー・スーウェン
彼女たちの武器は財力、
オットー・スーウェン
経済で、ぶん殴るのは最強の一手ってわけです。
オットー・スーウェン
そのアナスタシア陣営の正体、 挙句に借りを作りそうな状況。
オットー・スーウェン
僕がどのくらい胃が痛いかわかってくれました。
エミリア
やっとすごく身に染みました。勝手なことしてごめんなさい。
オットー・スーウェン
わかっていただければ、とりあえず大丈夫です。
オットー・スーウェン
何も1人で悩みを抱える必要はありません。この竜車と一緒ですよ。
エミリア
竜車と一緒って。
オットー・スーウェン
今、手綱を握っているのはなつきさんです。
オットー・スーウェン
なつきさんがサボらないように見張っているのはベアトリスチャン。
オットー・スーウェン
周りの警戒をしているのはガーフィールですし、その竜車の旅程を計画したのは僕です。
オットー・スーウェン
そしてエミリア様はその全員にお疲れ様と声をかけて、
オットー・スーウェン
まあ、えっちらおっちらとプリステラを目指しているわけで。
エミリア
今のオットーくんの言い回し、なんだかすごくスバルみたいよ。
オットー・スーウェン
ええ、本当ですか。嫌だな
ナツキ・スバル
おい。オットーなんだよずりぃ。
ナツキ・スバル
何俺のエミリアタンと盛り上がってんだ。
ナツキ・スバル
ベア子ちょっともってろ。
ベアトリス
むりなのよ。
ガーフィール・ティンゼル
おい大将なにしてんだよ大丈夫か?
ナツキ・スバル
出入りだけでやけに厳重だなぁ。
ナツキ・スバル
ますます、水の監獄ぽさが増す。
エミリア
すごい。
ガーフィール・ティンゼル
確かにこりゃ壮観だ。
ベアトリス
もともとプリステラは湖の上に建設された400年前の技術を結集した都市なのよ。
ベアトリス
おかしな造りだけど、都市そのものが罠だった成り立ちを考えると、町の中央に水が集まりやすくなっているのも当然の構造から、
エミリア
街そのものが罠だったってすごくいわくありげ。
ナツキ・スバル
魔獣でも狙ってたのかよ。
ベアトリス
謎なのよ。記録には何のための罠だったかまでは残ってないかしら。
ナツキ・スバル
しかしこれ、ほんとに迷路みたいだな。
エミリア
街の形は水路に合わせて作られてるから、陸路はすごく入り組んじゃってるみたい。
オットー・スーウェン
都市の中は竜車よりも竜船が主流なんですよ。
ナツキ・スバル
水の衣の邸。
エミリア
なんかすごく不思議な形の建物ね。
ナツキ・スバル
これ、宿っていうか旅館じゃねえか。
アナスタシア・ホーシン
驚いてくれてるみたいやね。そしたらうちもここを選んだ甲斐があるわ。
ナツキ・スバル
アナスタシアさん。
アナスタシア・ホーシン
はいな。ようこそプリステラへ。
アナスタシア・ホーシン
来てくれてありがとうな。
エミリア
久しぶりね、ユリウス。
ユリウス・ユークリウス
お久しぶりです、エミリア様。顔を合わせるのは久しぶりだ。壮健であっただろうか。ナツキスバル殿。
ナツキ・スバル
何がすばるどだ。白々しいんだよ。
ユリウス・ユークリウス
そう言われても。今のあなたには相応の立場がある。そのつもりで接したまでだが。
ナツキ・スバル
までだがじゃねえよ。気分が悪いしひにくはやめろ。
ユリウス・ユークリウス
なるほど。どうやら立場は変わっても、その心根には影響が薄いらしい。
オットー・スーウェン
皆さん、急行を温めるのもいいとは思うんですが。
ユリウス・ユークリウス
お、あなた。
オットー・スーウェン
あ、僕は。
ユリウス・ユークリウス
これは大変失礼いたしました。
ユリウス・ユークリウス
まさかこの場にあなた様のような高位の精霊が同席されているとは思わなかったものですから。
ナツキ・スバル
紹介しておいてやるぜ。俺と契約したロリー。あー、じゃなくて、精霊のベアトリスだ。
ベアトリス
ベティはスバルのパートナーだから、この場にいるのは当然かしら。
ベアトリス
お前の連れているまだ名もない純精霊たちとは格も怒も可愛さも段違いなのよ。ベアトリス
ナツキ・スバル
最後まで威厳を保ってよ。
ミミ
あ、ガーフ着てた。
ミミ
お嬢なんで秘密にしてたかなー。
ミミ
探検、ミミが案内してあげる。
ガーフィール・ティンゼル
おい待てこら。俺様はまだ話が。
ミミ
すぐ行こう、すぐ行こう。
ナツキ・スバル
俺たちも行くか。
ナツキ・スバル
かしこまって、どうしたんだよ。
オットー・スーウェン
いや、いいんですけどね。
オットー・スーウェン
いいんですけどね。
エミリア
なんかすごく不思議な雰囲気。床に座っちゃうし、靴も脱いでるし。
ナツキ・スバル
これは多分、寝室もベッドじゃなくて床に布団を敷くんだよな。
ナツキ・スバル
部屋着も浴衣だったりするのかな。
エミリア
スバルrすごく詳しいのね。
アナスタシア・ホーシン
ほんまやね。一体どこでカララギ式について勉強したん。
ナツキ・スバル
カララギ式ってこの宿のことか。
アナスタシア・ホーシン
そうやよ。和風建築様式はカラ伝来のもん。
ナツキ・スバル
和風建築。そりゃなんとも聞き逃せねえ響きだ。
オットー・スーウェン
元々プリステラはカララギ建国の雄であるホーシンが立ち上げに関わった都市なんです。
ナツキ・スバル
ホーシン。
オットー・スーウェン
荒地のホーシンとも呼ばれ、400年前の当時からとにかく革新的な発想力と先進的な理念で知られた人物です。
ナツキ・スバル
荒地のホーシン。、
ナツキ・スバル
その正体はおそらく俺と同じ異世界日本から召喚された人間。
ヨシュア・ユークリウス
アナスタシア様、準備が整いました。
アナスタシア・ホーシン
ありがとう、ヨシュア。
アナスタシア・ホーシン
そしたらお待ちかねの話に入ろうか。
アナスタシア・ホーシン
お探しの魔晶石。
アナスタシア・ホーシン
その所有者はこの都市による大商会の跡取り息子やの。
アナスタシア・ホーシン
ヨシュアにはそのミューズ商会まで行く竜船を用意してもろたんよ。
オットー・スーウェン
ミューズ商会の跡取り息子。
アナスタシア・ホーシン
そう。本人の商才大したもんやけど、この街やともっと別の名前で有名なお人なんよ。
エミリア
別の名前で。
アナスタシア・ホーシン
そう、歌姫に心を奪われた男。
アナスタシア・ホーシン
転じて、歌姫狂い。
エミリア
船で水の縁を当たるなんて初めて。なんかドキドキしてきちゃった。
ナツキ・スバル
歌姫狂いって絶対変人だろ。あれ。こっちとあっちで水の流れ違う。
エミリア
驚いた。実は私知ってるの。
エミリア
ほら見て。あれが街の中の水の流れを制御してる制御塔なの
エミリア
塔全体が複雑な仕組みのミーティアになってて、水の魔石の力で水流を操ってるんですって。
オットー・スーウェン
ちなみにこの都市では水を汚すと大変な罰則があるので気を付けてください。
オットー・スーウェン
さっきから怯えた顔で水を眺めてるガーフィールは特に。
ガーフィール・ティンゼル
別に水が怖いってことはねぇよ。
ガーフィール・ティンゼル
ただ濡れ猫になるのが嫌だってだけでよう。
オットー・スーウェン
じゃあ力いっぱいなんと掴むのやめてもらえます。
オットー・スーウェン
破れれそうな音してるんで。
ベアトリス
やれやれ。みんなはしゃぎすぎなのよ。もっとおとなしくしくじょのベティを見習うと。いスバル。
ナツキ・スバル
やばい
ベアトリス
今なんて言ったのかしら。
ナツキ・スバル
やばい。吐きそう。
ナツキ・スバル
小学校の臨海学校でフェリーに乗った時の悪夢が再来した。
ナツキ・スバル
あ、やばい。世界揺れてる。今なを揺れ続けてる。
ベアトリス
もう少し風を浴びて大人しくしてるかしら。歌姫狂いの方はあの3人に任せておけばいいのよ。
ナツキ・スバル
まさか俺が船酔いすると知ってて、エミリアタンとんと分断するのが狙いだったのか。
ベアトリス
ヘボヘボーのスバルが抜けてどうにかなるエミリアじゃないかしら。
ナツキ・スバル
あー、ちくしょ。
ナツキ・スバル
まだちょっとフラフラするけど、こんぐらいならベア子と手を繋げば。ほのぼのパワーで帳消しだ。
ベアトリス
調子のいいことなのよ。まあ、何かあってもベティがなんとかしてあげるかしら。
ナツキ・スバル
頼りにしてるぜ。
ナツキ・スバル
うん。じゃ、エミリア。タンが心細くて泣き出すまえに合流だ。
ナツキ・スバル
んで、ミューズ商会。陸路で行くとこっちで合ってんのか。
ベアトリス
そのはずなのよ。
ナツキ・スバル
つか、ここさっき通らなかった。お前、ひょっとして道に迷った。
ベアトリス
べ、別に迷ったわけじゃないかしら。
ベアトリス
でも、もしスバルが不安なら、念のため誰かに道を尋ねるのもいいのよ。
ナツキ・スバル
はいはい。かわいいかわいい。
ナツキ・スバル
でも誰もいねえ。
ナツキ・スバル
うわ、すげえ。
ナツキ・スバル
なんだこれ。よ、
ナツキ・スバル
よくよく聞いたらひでえ歌詞だなおい。
ナツキ・スバル
あ、やべえ。空気読めないことした
ベアトリス
スバルのバカなんて無粋かしら。台無しなの。
観客
余計なことすんなよ。なんだお前。
観客
邪魔すんな。
ナツキ・スバル
ひでえ目にあった。正直、1年ぶりに死を覚悟した。
ベアトリス
知らんのよ。
ベアトリス
治癒魔法はかけてあげないかしら。
ベアトリス
エミリアにでも頼むといいのよ。
ナツキ・スバル
でもお前、エミリアたんに回復せがんだら不機嫌になるじゃん。
ナツキ・スバル
あーと、終わり。
ナツキ・スバル
歌を邪魔するつもりよ。
リリアナ・マスカレード
ひらめきました。
リリアナ・マスカレード
聞いてください。では、恋の年の差
リリアナ・マスカレード
ねえ、見えてる感じてる。あなたと私の恋の年の差。
リリアナ・マスカレード
周りは変だと言うけれど、私はそんなの気にしてないは。
リリアナ・マスカレード
ねぇ、待っててお願い待ってて、あと少し、もう少し。
リリアナ・マスカレード
背伸びをすれば届くくらい。
リリアナ・マスカレード
私とあなた他の恋の距離。
リリアナ・マスカレード
甘くとろける恋の距離。
ナツキ・スバル
縮まる二人の恋の距離。
ナツキ・スバル
静かに燃える愛となり。
ナツキ・スバル
やがて2人に恋の距離
ナツキ・スバル・リリアナ・マスカレード
きっと2人に未来は明るい恋物語。
ベアトリス
ちょっと待つかしら。
ベアトリス
なんでスバルは急に歌に混じってるのよ。
リリアナ・マスカレード
それにお前が当たり前みたいに受け入れてるのもおかしいかしら。
ナツキ・スバル
おいおい、何言ってんだべアコ。歌は国境を越えるんだぜ。
リリアナ・マスカレード
いい話ですね。このリリアの感動に胸が震えます。
リリアナ・マスカレード
震えるほどありませんが。
ベアトリス
ベティが間違ってるみたいな雰囲気は納得がいかないのよ。
リリアナ・マスカレード
おっと、自己紹介が遅れました。
リリアナ・マスカレード
私、このリュリールと歌声だけで身を立てる吟遊詩人をやってます、リリアナと申します。
リリアナ・マスカレード
いご、お見知りおき
ナツキ・スバル
あ
ベアトリス
噛んだかしら。
リリアナ・マスカレード
盛大に噛みました。
ベアトリス
ひょっとしてこの娘。
ナツキ・スバル
うん、まあ。ひょっとしてあんたが巷で有名な歌姫ってやつなのか。
リリアナ・マスカレード
その呼ばれ方はちょっとはずいのですが。
リリアナ・マスカレード
はい。
ナツキ・スバル
あ、なら歌姫狂いがいるっていうミューズ商会って知ってるよな。
リリアナ・マスカレード
案内するのは構いませんが、歌姫の歌を聴いたんですから出すもん出してくださいよ。
ナツキ・スバル
歌姫って呼ばれるのは恥ずいんじゃなかったのかよ。
リリアナ・マスカレード
それはそれ、これはこれです。お客さん、まさかタダ聞きしよってんじゃないでしょうね。
ナツキ・スバル
わかったよ。
ナツキ・スバル
いくら欲しいんだ。
リリアナ・マスカレード
それはお客さんの心の赴くありったけください。
ナツキ・スバル
むりやり赴かせんじゃねえ。
リリアナ・マスカレード
まあ、なんていい草。
リリアナ・マスカレード
ひらめきました。聞いてください。荒波、高波。世間の波
ナツキ・スバル
もう。いいよ。
リリアナ・マスカレード
などと話してるうちに到着しました。
ナツキ・スバル
あー、ここが。
リリアナ・マスカレード
はい、それでは聞いてください。本日最後の曲です。人生ぱやぱや。
ナツキ・スバル
しかし、すげえなお前。言動だけでここまで俺をドン引きさせたのはペテルギウス以来かもしれねえ。
リリアナ・マスカレード
誰かは存じませんが、なかなか見どころがありますね、ペテルギウスさん。
リリアナ・マスカレード
もしどこかで会う機会があれば、終世の好敵手になったかもしれません。
ナツキ・スバル
魔女教大罪司教だぞ。
リリアナ・マスカレード
ちょ、ちょっと待ってください。あなた、ひょっとして。
リリアナ・マスカレード
幼女使いのナツキ・スバル様ですか。
ナツキ・スバル
その2つ目には物申したいけど、
リリアナ・マスカレード
クルシュカルシュテン公爵が主導した三大魔獣白鯨の討伐において並ならぬ助力をし、剣鬼、ベルヘルムをして恩人と言わせた。歴史の仮添え人。
リリアナ・マスカレード
そして、世界を震撼させた。魔女教大罪司教怠惰をカルシュテン公爵とホーシン商会アナスタシア嬢の力を借りながら撃破。
リリアナ・マスカレード
さらには3大魔獣大兎おも討伐した英雄。
リリアナ・マスカレード
あ、目の前に。
リリアナ・マスカレード
目の前に伝説がいるでございますぅ。
ダイナス
リイアナ嬢ちゃん。どうかしたか。
ダイナス
この2人は。
ナツキ・スバル
あー、俺たちは今、中で商談中のエミリア様の従者だ。
リリアナ・マスカレード
と言うことは。
リリアナ・マスカレード
その商談の便宜を図れば、幼女使いスバル様がお話を聞かせてくださったりするんですか。
ナツキ・スバル
だからその呼び方はやめろって。あと話ってなんだよ。
リリアナ・マスカレード
そりゃもう色々ですよ色々。
リリアナ・マスカレード
伝えきってる噂がどのくらい事実なのか知りたい聞きたい。歌いたいですし、。
リリアナ・マスカレード
そこから後世に語り継ぐような英雄感が歌えるかもしれません。
リリアナ・マスカレード
さあ行きましょう。
リリアナ・マスカレード
義理と人情を測りにかけたらぶっ壊すとかリリアのマスカレードです。
ベアトリス
ぶっ壊して何するつもりなのよ。
リリアナ・マスカレード
キリタカさんっては私にぞっこんではちゃめちゃ甘い人なので、きっと私から言えば商談もボロボロガッタガタに進むってすっぽです。
ナツキ・スバル
いや、それ明らかにスムーズにスんだ祇園じゃねえだろう。
リリアナ・マスカレード
いいからいいから。心配ご無用をお任せあれ
ナツキ・スバル
おいちょっと、待てって。