櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 骨愛ずる姫君

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 骨愛ずる姫君は、高校生の館脇正太郎が足しげく通う標本師の女性、櫻子さんと海岸に骨の採取に向かい、人骨を発見する。その人骨は遥か昔の女性の頭蓋骨だった。

  1. 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Aパート
  2. 櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Bパート

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Aパート

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Aパートは、館脇正太郎と九条櫻子とが海岸で頭蓋骨を発見する。その頭蓋骨はどの様な死を遂げた遺骨なのか。

館脇正太郎は、学校の校門の前で子猫の死骸を見付ける。

だれも見てみぬふりをする中、館脇正太郎は新聞紙と段ボール箱を取ってきてもらえるように頼み、猫を埋葬する。

それは全て櫻子さんに出会ったからだった。

埋葬時桜が咲く季節。

今井陽人は、

「こういうのどっかで聞いたことがある。桜の木下には・・・」

といい、

「死体が埋まっている。梶井基次郎の小説だよ。」と担任で生物教師の磯崎齋が言う。

舞台は北海道旭川市。

街を流れる時間はゆったりしている。

「この街には過去の記憶がひっそりと優しく息づいている。 そして、ここには過去に生きた者たちを慈しむ人が居る。」

九条家の玄関を入ると庭に桜の木がある。

桜の木の下に1人の女性が居る。

「やぁ、少年、よく来たな」

女性は言う。

「桜の木の下には、骨愛ずる姫君が居る。」

桜の木の下に居たのは九条櫻子。

旧家の九条家の屋敷にばあやと2人で暮らしている。

櫻子さんは人間が好きではない、好きなのは骨。

その好きな骨を仕事にしてしまった。

櫻子さんの職業は標本師。

動物の死体から骨を取り出し骨格標本を作る職人である。

櫻子さんの興味を引くものはすでに命を失った死体だけだった。

櫻子さんんと館脇正太郎の関係は、恋人でもなく友達でもない。

そんな2人は、車で増毛の海に行く。

何をしに行くのか?

骨を拾いにである。

海岸を掘って骨を探す。

クジラの骨などの大物を探す2人。

館脇正太郎は骨を掘り当てる。

「おお、これは大物だな。」

「実にありふれた生き物の骨だよ。」

「やぁ、こんにちは。」

「櫻子さん、それ。」

「人間の頭蓋骨だが。

「見たまえ、実に美しい。保存状況もすこぶる良好だ。」

「蝶形骨まで残っているぞ。」

「それ人間の頭蓋骨だな。見たまえ実に美しい。保存状態もすこぶる良好だ。はや。 だからそういうことじゃなくて。素晴らしい。 蝶形骨までほぼ無傷で残っているぞ。」

「少年。人間は頭の中に 1 匹。 蝶を飼っているだ。 ほーらここ、この奥にいる。 蝶形骨はその名の通り蝶の形をした骨だ。 非常に脆くすぐに壊れてしまう。だが美しい。」

館脇正太郎は警察に通報する。

「君と言うやつは。」

櫻子さんは言う。

「だめだ、これは私のものだぞ、警察なんかに渡してたまるか。」

骨を持って櫻子さんは逃げようとする。

櫻子さんtの一緒にいるとなぜか死体を見つけてしまう。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Bパート

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 第壱骨 Bパートは、海岸で見つけた頭蓋骨を持ち帰ろうとする櫻子さんを制して、警察に通報する館脇正太郎。2人は警察署に向かう途中別の遺体が海岸に打ちあがっていると聞き、その謎を解きに向かう。

警察が来ても骨を渡さない櫻子さん。

犯人は見つからないと言う。

なぜかと言うと、骨の持ち主は100年近く前を生きた人物だからという。

骨を見るだけで、おおよその年代はわかるのだと説明する櫻子さん。

警察で事情聴取を受けることになるが、今日は3つも遺体が見つかったと言う。

男女の心中遺体が見つかったのだと。

警察の車を止めさせて、遺体を見聞する櫻子さん。

「さあ、謎を解こうじゃないか。」

櫻子さんは言う。

櫻子さんは見るなり、この遺体は心中を偽装した殺人事件だと言う。

なぜ、心中では無いのか?教えて欲しいと警官に聞かれて、櫻子さんは答える。

結び目が綺麗だったから、男の右腕と女の左腕が結ばれていたから。

男は、腕時計のつける腕、ネクタイの結び目から右利きと想像できる。

心中であるのにかかわらず、男がロープを結ばないのは不自然だと櫻子さんは言う。

さらに、もやい結びの端の向きが自分を結ぶ時と逆方向だと続ける。

死の恐怖は愛というものを凌駕する。

死の危機にひんすると、何かに捕まろうと必死でもがくが、その後もない。

2人の口元に溺死の痕跡もない。

「あんな短い時間でどうしてそこまで?」

問う警官に櫻子さんは答える。

「簡単な事だ。 私は君たちと違って、目の前の遺体が他殺体である事を望んでいるからだ。」

(これはよくわかる。人はこうあって欲しいと思う方の証拠を見付けやすい。)

不謹慎だと言われた櫻子さんは言う。

「人間は野生動物ではない。残念ながら、人間の死体はその辺に転がっては居ないんだ。だから死体を見つければ、私はそれを不自然と思う。 先入観の相違だよ。」

櫻子さんは頭蓋骨を持ち逃げしようとする。

館脇正太郎に怒られて、諦める。

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